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契約書の地雷「表明保証」とは?売却後に損害賠償請求されないためのリスクヘッジ

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「会社を売却して、数億円が振り込まれた。これで引退生活に入れる」

そう思っていた半年後、買い手企業から内容証明郵便が届く。
『貴社が保証した内容に虚偽がありました。表明保証違反に基づき、損害賠償として5,000万円を請求します』

これはフィクションではありません。M&Aの最終契約書(DA)に潜む「表明保証条項」を甘く見ていた売り手が、売却後に直面する現実のリスクです。

今回は、M&A契約における最大の地雷「表明保証」の仕組みと、売却後に訴えられないために契約書に盛り込むべき「3つの防衛ライン」について解説します。

表明保証(レプワラ)とは何か?

表明保証(Representations and Warranties)とは、売り手が買い手に対して、「開示した決算書や会社の情報に、嘘偽りがないことを保証する」約束のことです。

買い手はデューデリジェンス(DD)で会社を調査しますが、短期間ですべてを完璧に見抜くことは不可能です。
そのため、「もし後から隠していた借金や、法令違反が見つかったら、売り手が責任を取ってね」という保険を契約書にかけるのです。

よくある違反事例

  • 未払い残業代:実はサービス残業が常態化しており、買収後に従業員から請求された。
  • 簿外債務:決算書に載っていない、社長個人が保証していた借金が出てきた。
  • 係争案件:実は取引先と裁判沙汰になりかけているトラブルを隠していた。

違反するとどうなる?「損害賠償」の恐怖

もし表明保証違反が発覚した場合、買い手は売り手に対して「補償請求」を行います。
具体的には、譲渡代金(売却額)の減額や、損害額の現金支払いを求められます。

最悪の場合、契約そのものが「解除」され、会社を返され、代金の全額返還を求められるケースすらあります。
すでに売却益を使ってしまっていたら、破産しかありません。

売り手が絶対に入れるべき「3つの防衛ライン」

表明保証は買い手のための条項ですが、売り手も交渉次第でリスクを限定できます。
契約書チェックの際は、以下の条項が入っているか目を皿のようにして確認してください。

1. 「知る限り(Knowledge)」の限定

全ての表明保証に対して「一切の瑕疵がないこと」を保証するのは不可能です。
そこで、「売り手が知る限りにおいて、事実と相違ない」という文言を入れます。

これにより、「社長も知らなかった現場の軽微なミス」まで責任を負わされるリスクを回避できます。

2. 金額と期間の上限設定(キャップと期間制限)

責任範囲を無限にしないために、上限を設けます。

  • 金額の上限(キャップ):賠償額は「譲渡価格の10%〜30%まで」とする。
  • 期間の制限:請求できるのは「クロージング後1年以内」とする。

これがないと、10年後に発覚した問題で、売却額以上の賠償金を請求されるという理不尽がまかり通ってしまいます。

3. ディスクロージャー(別紙)での例外列挙

「実はちょっと気がかりなトラブルがある…」
そんな時は、隠さずに契約書の「別紙(ディスクロージャー・スケジュール)」に全て書き出してください。

「この問題は契約前に開示しましたよね? それを承知で買いましたよね?」という証拠を残せば、その件については表明保証違反を問われません。
M&Aにおいて、「悪い情報ほど早く出す」のが身を守る鉄則です。

契約書を作るのは「仲介会社」ではない

多くの場合、契約書のドラフト(叩き台)は買い手側の弁護士か、仲介会社が作成します。
仲介会社は「成約」がゴールなので、売り手に不利な条項があっても、さらっと流してしまうことがあります。

最終契約書にハンコを押す前に、必ずセカンドオピニオンとしてM&Aに詳しい弁護士やアドバイザーにチェックしてもらうことを強く推奨します。

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まとめ:契約書は「引退後のお守り」

表明保証条項は、専門用語だらけで読むのも嫌になるかもしれません。
しかし、ここを適当に済ませると、リタイア後の平穏な生活が脅かされます。

「嘘をつかない」「隠さない」。そして「責任の範囲を限定する」。
この3つを徹底して、枕を高くして眠れる完全なExitを目指してください。

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