「会社を売ろうと思うが、誰に相談すればいいか分からない。メインバンクに言うべきか、顧問税理士か、それともネットで見た仲介会社か…」
M&Aの成否は、最初のパートナー(アドバイザー)選びで8割決まると言っても過言ではありません。
間違った相手を選ぶと、着手金だけ払わされて1年も買い手が見つからなかったり、相場より安い価格で叩き売られたりするからです。
今回は、銀行・会計事務所・専門仲介会社のそれぞれの強みと弱みを分析し、あなたの会社の規模に合った「最強の相談先」の選び方を解説します。
相談先は主に3つのルートがある
M&Aの相談先は、大きく分けて以下の3つです。
1. 金融機関(銀行・証券会社)
特徴:信頼性は高いが、敷居も手数料も高い。
地銀やメガバンクは、信用力があり情報漏洩のリスクも低いのがメリットです。
しかし、彼らが本腰を入れるのは「手数料が数千万円取れる大型案件」に限られます。年商数億円規模の中小企業の場合、優先順位を下げられ、案件が放置(塩漬け)されるリスクがあります。
2. 会計事務所・税理士
特徴:財務には強いが、マッチング力は弱い。
顧問税理士は内情を知っているので相談しやすいですが、彼らの本業は「税務」であり「営業」ではありません。
買い手を見つけてくるネットワークを持っていないことが多く、「待ち」の姿勢になりがちです。
3. M&A専門仲介会社
特徴:成約スピードは早いが、玉石混交。
「M&Aキャピタルパートナーズ」や「M&A総合研究所」などの専門業者は、買い手を見つける営業力が圧倒的です。
詳しくは『M&A仲介の手数料相場』でも解説していますが、完全成功報酬型の会社も増えており、中小企業の売却においては現在の主流です。
「専任媒介契約」の罠に注意せよ
アドバイザー選びで最も警戒すべきは、「専任媒介契約(FA契約)」です。
これは「ウチに任せたら、他の仲介会社には浮気しないでください」という契約です。
優秀なアドバイザーなら問題ありませんが、無能な担当者と専任契約を結んでしまうと、半年〜1年間、会社を売るチャンスを完全に封じられます。
これを業界用語で「囲い込み」と呼びます。契約書にハンコを押す前に、セカンドオピニオンを取ることは必須です。
失敗しないための選定基準「3つの質問」
アドバイザーと面談する際は、以下の質問をぶつけてみてください。
Q1. 「同業種の実績は具体的にいくつありますか?」
M&Aは業種ごとに勘所が違います。
建設業なら建設業、ITならITの成約実績がある担当者でないと、適正な株価評価ができず、買い手へのアピールポイントもズレてしまいます。
Q2. 「着手金はかかりますか?」
一概には言えませんが、中小規模の案件であれば「着手金無料(完全成功報酬)」の会社を選ぶのが無難です。
着手金(100万〜500万円)を取る会社は、「売れなくても儲かる」ため、必死さが足りないケースがあるからです。
Q3. 「買い手候補のリストを見せてくれますか?」
『秘密保持契約』を結んだ後であれば、具体的な買い手候補(ロングリスト)を見せてくれるはずです。
ここに具体的な社名がなく、「幅広く探します」としか言わない業者は、アテがありません。
まずは「業界の案内人」に聞くのが近道
いきなり一社に絞るのはリスクが高すぎます。
「自分の会社の規模なら、どの仲介会社が一番強いのか?」を知るために、まずはM&A業界全体を俯瞰しているエージェントや、比較サイトを活用して情報収集するのが賢い戦略です。
▼自社に合ったアドバイザーを見極める
M&A業界に特化したエージェントなら、「A社は建設に強い」「B社はITに強い」といった内部事情を熟知しています。仲介会社と契約する前に、業界の相場観を聞いてみましょう。M&A BEGINNERS 公式サイト
まとめ:担当者の「熱量」を見ろ
最終的にM&Aを成功させるのは、会社の看板ではなく「担当者個人の熱量とスキル」です。
あなたの会社の魅力を理解し、泥臭く買い手を探して走り回ってくれるパートナーかどうか。
銀行だから安心、大手だから安心、ではありません。
自分の人生を預けるに足る人物かどうか、経営者の目で厳しく審査してください。
